コラム
2026.01.30
飲食店の原価率の目安は30%?計算式から適正値までを解説
- 基礎情報
毎日一生懸命にお客さまを迎え、美味しい料理を提供している。それなのに、月末に数字を見ると「思ったより利益が残っていない」と肩を落とした経験はありませんか?
飲食店経営において、売上の次に注視すべき数字が「原価率」です。一般的には30%が目安と言われていますが、昨今の食材価格の高騰や人件費の上昇により、昔ながらの基準だけでは経営が立ち行かなくなっているのが現状です。
店舗を運営するなかで、以下のような悩みはありませんか?
・仕入れ値が上がっているけれど、値上げに踏み切れない
・ロスが多い気がするけれど、どこから手をつければいいか分からない
・売上はあるのに、なぜか手元にキャッシュが残らない
そんな悩みを持つオーナーさまや店長さまに向けて、この記事では原価率の正しい計算方法から、利益を最大化するための具体的なコントロール術、最新の管理ツールの活用法まで詳しく解説します。
正しい知識を身につけ、適切な管理を行うことで、「忙しくてもしっかり利益が出る」健全な店舗運営をめざしましょう。
飲食店の原価率とは
飲食店の原価率とは、売上高に対して食材の仕入れ費用(原価)が占める割合のことです。 この数値を把握することで、商品1つを販売した際に手元にどれだけの利益(売上総利益)が残るかを明確にできるため、経営において最も重要な指標の一つといえます。
一般的に、飲食店の原価率は30%が目安とされてきました。しかし、近年は人件費の高騰や食材価格の激しい変動により、一概に「30%を目指せば安泰」というわけではありません。
原価管理において大切なのは、以下のバランスを保つことです。
・原価率が高すぎる場合: 利益が圧迫され、店を維持するための固定費(家賃や人件費)を払えなくなる。
・原価率が低すぎる場合: 料理の質やボリュームが落ち、顧客満足度の低下を招くリスクがある。
安定した経営を続けるためには、自店舗の業態や経費構造を正しく把握し、「利益を確保しつつ、顧客に価値を感じてもらえる適正な数値」を設定・管理することが不可欠です。
飲食店の適正原価率とFLコスト
飲食店の適正な原価率は、一般的に30%前後が基準とされています。しかし、原価率単体で判断するのではなく、人件費を含めたFLコスト(Food and Labor cost = 食材費と人件費の合計)で考えることが重要です。
例えば、高級レストランでは食材原価を40%に設定し、その分サービスを簡略化して人件費を抑える戦略もあります。反対に、カフェなどは原価率を25%程度に抑え、接客コストを確保する場合が多いです。
業態別の原価率平均
業態によって原価率の平均は大きく異なります。日本政策金融公庫などのデータに基づいた、一般的な飲食店の原価率目安は以下の通りです。
| 業態 | 原価率の目安 | 特徴 |
| 喫茶店・カフェ | 25〜35% | ドリンク主体のため原価は低いが、回転率が課題 |
| 居酒屋 | 28〜35% | お酒で利益を取り、料理で集客するバランス型 |
| ラーメン店 | 30〜35% | スープや麺のこだわりにより原価が変動しやすい |
| 寿司・高級割烹 | 35〜50% | 鮮魚など高価な食材を扱うため原価率は高め |
原価率が高い業態は、回転率を上げることや、付加価値の高いサービスを提供することで利益を確保しています。
人件費と合わせたFLコスト
飲食店経営で最も注視すべきは、原価と人件費を合計したFL比率(売上高に占めるFLコストの割合)です。このFL比率は、一般的に売上の60%以内に収めるのが理想的とされています。
内訳は原価率30%、人件費率30%が標準的なバランスです。この合計が65%を超えると利益を出すのが難しくなり、70%を超えると赤字のリスクが急激に高まります。
原価率が高くなる要因

原価率が想定より高くなる要因は、日々のオペレーションの中に潜んでいます。主な原因を整理すると、以下の4点に集約されます。
・食材の廃棄ロス:仕入れすぎや賞味期限切れによる廃棄
・オーバーポーション:規定量を超えた盛り付けによる材料の無駄使い
・物価高騰:仕入れ価格の上昇分をメニュー価格に転嫁できていない
・メニュー構成:原価率の高い料理ばかりが注文されている
これらの要因を一つずつ潰していくことが、原価率改善の近道です。
理論原価と実際原価のズレ
原価管理では、理論原価(レシピ通りの原価)と実際原価(棚卸しで算出される現実の原価)のズレに注目してください。この差はロス率と呼ばれ、現場の管理体制の課題を浮き彫りにします。
例えば、理論上は30%のはずが実際には33%になっている場合、3%分の食材が廃棄やミスの原因で失われている計算です。このズレを最小限に抑えることが、利益改善の第一歩となります。
飲食店の原価率計算方法と棚卸し
原価率を正確に把握するには、日々の計算と定期的な実地棚卸しが不可欠です。帳簿上の数値である理論値と、実際の在庫状況を突き合わせることで、経営の課題が明確になります。計算の基本となる売上高と売上原価の関係を理解し、食材のロスがどこで発生しているかを特定しましょう。適切な計算手順をルーティーン化することが、健全な店舗運営の基盤となります。
原価率の計算式と歩留まり
原価率は「売上原価 ÷ 売上高 × 100」で算出します。この際、実際に調理に使用できる「歩留まり(可食部)」を考慮することが重要です。
例えば、1kgの塊肉を3,000円で仕入れた場合、脂身や筋を取り除いて800gしか使えなければ、実質の原価は1gあたり3.75円に跳ね上がります。
歩留まりを考慮した計算手順は以下の通りです。
・食材の仕入れ価格を確認する
・廃棄部分を除いた可食部の重量を計測する
・仕入れ価格を可食部の重量で割り、実質原価を出す
これを怠ると、メニュー1品あたりの正確な利益が見えなくなります。歩留まりまで含めた計算を徹底しましょう。
ロス率の計算
ロス率とは、売上に対して廃棄やミスで失われた食材の割合を指します。計算式は「ロス金額 ÷ 売上高 × 100」です。ロス率は一般的に売上の2〜5%程度が許容範囲とされています。
しかし、管理が不十分な店舗では10%近くに達することもあり、利益を大きく削る要因となります。主なロス要因には以下のものがあります。
・オーダーミスによる作り直し
・食材の賞味期限切れによる廃棄
・提供前の床への落下などの人的ミス
これらのロス金額を可視化することで、現場の意識改善や仕入れ量の適正化につなげられます。
毎月の棚卸しの手順
棚卸しは、期末に残っている在庫(棚卸資産)の総額を算出し、その月の正しい売上原価を出すための作業です。以下の手順で毎月末に実施します。
1. 在庫表(棚卸表)を準備する
2. 全ての食材や飲料の在庫数を確認・記録する
3. 「当月仕入高」に「前月末在庫高」を足し、そこから「当月末在庫高」を引く
この計算によって導き出された数値が、その月の実際原価となります。正確な棚卸しを行うことで、理論原価との乖離(かいり)を特定し、不正や無駄の早期発見が可能になります。
飲食店の原価率を下げる施策

原価率を下げるためには、単に安い食材を仕入れるだけでなく、戦略的なメニュー構成やオペレーションの改善が必要です。利益率の高いメニューを意図的に売る仕組みを作り、現場での無駄を徹底的に排除することで、品質を落とさずに原価率を下げられます。ここでは、すぐに取り組める5つの具体的な施策について詳しく解説します。
メニューエンジニアリング(ABC分析)
売上高と原価率のバランスを最適化するには、ABC分析が有効です。どの料理が利益に貢献しているかを可視化できるからです。
例えば、全メニューを「売上数量」と「収益性」の2軸で分類します。売れ筋で利益が高い商品を強化し、売れ行きが悪く利益も低い商品をメニューから外す判断を下します。
分析結果に基づき、利益の出やすいメニュー構成へ再構築することが重要です。以下の表を参考に、自店のメニューを分類してみましょう。
| 売上数量 | 収益性 | 対策 | |
| A(主力商品) | 高い | 高い | 看板メニューとして維持・強化 |
| B(課題がある商品) | 高い | 低い | 値上げや原価削減を検討 |
| C(隠れた名作) | 低い | 高い | おすすめ等で露出を増やす |
| D(撤退検討) | 低い | 低い | メニューからの削除を検討 |
食材のクロスユース
一つの食材を複数のメニューで使い回す「クロスユース」を徹底してください。食材の種類を絞り込むことで、廃棄ロスを大幅に削減できるためです。
例えば、鶏もも肉を「唐揚げ」「親子丼」「サラダのトッピング」など、複数の料理に活用します。これにより、特定のメニューが売れ残っても、他のメニューで食材を使い切ることが可能です。
食材の回転率が上がるため、常に鮮度の良いものを提供できるメリットもあります。
ポーション管理の徹底
盛り付けの量を一定にするポーション管理を徹底しましょう。目分量での盛り付けは、1回あたりの差は小さくても、積み重なると大きな原価のズレを生むからです。
具体的には、お玉やスクープのサイズを固定し、肉などのメイン食材は事前に1人前ずつ計量して小分けにします。
「今日は多め」といったサービス精神による過剰な盛り付け(オーバーポーション)を防ぐことで、理論原価に近い運営が可能になります。
仕入れ先の見直しと価格交渉
定期的に仕入れ先を見直し、価格交渉を行うことも効果的です。卸業者の価格設定は市場動向によって変動するため、長期間同じ条件で取引を続けることが損につながる場合もあります。
実際に複数の業者から見積もりを取る「相見積もり」を行い、価格の妥当性を確認しましょう。
ただし、過度な値引き交渉は品質低下や信頼関係の悪化を招きます。大量注文によるボリュームディスカウントなど、お互いにメリットのある提案を心がけてください。
松竹梅の法則
価格設定に「松竹梅の法則」を取り入れると、客単価と原価率のコントロールがしやすくなります。人は3つの選択肢がある場合、無意識に真ん中の「竹」を選びやすいという心理的傾向があるためです。
| 価格の例 | 原価率の例 | 役割 | |
| 松(最高級) | 2,500円 | 25% | 利益率が高く、贅沢したい層向け |
| 竹(標準) | 1,800円 | 30% | 最も選ばれやすく、経営の柱 |
| 梅(手頃) | 1,200円 | 35% | お得感を出し、入店の心理的障壁を下げる |
このように、最も注文してほしい「竹」の原価率を適正に設定することで、全体の利益を安定させられます。お客さまにとっても選択の基準が分かりやすくなり、注文の心理的ハードルを下げる効果も期待できます。
飲食店の原価率管理ツールの活用

原価率を効率的に管理するためには、デジタルツールの活用が不可欠です。手書きの帳簿では集計に時間がかかり、人的ミスも発生しやすいためです。現在は、表計算ソフトや高性能なPOSレジ(販売時点情報管理)など、店舗の規模に合わせた選択肢が豊富にあります。ツールを導入することで数値をリアルタイムに可視化し、経営判断のスピードを上げられます。正確なデータ管理が「儲かる仕組み」の第一歩です。
Excel・スプレッドシートでの管理
費用を抑えて管理を始めたい店舗には、Excelやスプレッドシートが最適です。既にあるパソコンで運用できるため、導入費用がかからず自由なカスタマイズが可能だからです。
例えば、仕入れ日と金額、売上を入力する数式を作成すれば、自動で原価率が算出される仕組みを自作できます。まずは身近なソフトを使い、自店舗に合った管理表で数値を把握する習慣をつけましょう。
| 項目 | Excel・スプレッドシート | POSレジ |
| 導入費用 | 低い(無料〜) | 中〜高 |
| 操作性 | 数式の知識が必要 | 初心者でも使いやすい |
| 自動化 | できない(手入力) | できる(会計連動) |
| 分析機能 | カスタマイズ次第 | 豊富に備わっている |
POSレジによる原価管理の自動化
業務の効率化を極めるなら、POSレジによる自動管理がおすすめです。会計データと在庫データを連動させることで、理論原価を瞬時に計算できるためです。
実際に、注文が入るたびに在庫から食材が差し引かれるシステムであれば、月末の棚卸し作業の負担を大幅に軽減できます。人的ミスを減らし正確なデータを蓄積するために、POSレジの機能を最大限に活用してください。
日々の数値入力の重要性
どのようなツールを導入しても、日々の正確な数値入力が最も重要です。データの鮮度が低ければ、原価率の異常を早期に発見して対策を打つことができないためです。
例えば、その日の仕入れ伝票を営業終了後に必ず入力するルールを作れば、材料費の高騰にも即座に対応できます。毎日欠かさず数値を更新し続けることが、健全なキャッシュフローの維持につながります。
まとめ:適正な原価率管理で「忙しいのに儲からない」経営を卒業しよう
飲食店経営において原価率の管理は利益を確保するための土台です。目安とされる30%という数字に捉われすぎず、人件費を含めたFL比率で店舗の状況を判断してください。日々のロスを減らし、適切なメニュー構成を組むことで、手元に残る利益は確実に変わります。
本記事では、飲食店の原価率管理について解説しました。
重要なポイントをおさらいします。
・原価率30%は目安であり、自社に合うように計算する
・人件費を含めたFLコストを、全体の60%以内に収める
・理論原価と実際原価のズレ(ロス率)を把握して無駄を特定する
・メニューエンジニアリングを活用して利益率の高い商品を戦略的に売る
・デジタルツールを活用して日々の数値を正確に記録し可視化する
正しい数値管理を行うことで、「忙しいのに利益が出ない」という悩みから解放されます。まずは現状の正確な原価率を算出することから始めてみてください。健全な経営を維持し、お客さまに長く愛されるお店作りをめざしましょう。
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