コラム
2026.01.08
ダイナミックプライシングとは?AIなしで個人店が導入する方法と失敗しないコツ
- 基礎情報
昨今の宿泊施設や航空業界で主流となっているダイナミックプライシング(価格変動制)。需要に合わせて価格を柔軟に変更するこの仕組みは、個人経営の飲食店や小売店にとっても、収益改善や働き方改革の強力な武器となります。AIなど高度な技術が必要な印象がありますが、実はアナログな手法やPOSデータの活用だけで、今日からすぐに始めることができます。
この本記事では、個人店が失敗せずにダイナミックプライシングを導入するための具体的な手法と、お客さまの納得感を生む伝え方のコツを解説します。
ダイナミックプライシングとは?
ダイナミックプライシングとは、商品やサービスの価格を需要と供給の状況に合わせて変動させる価格戦略です。市場の状況に即して価格を柔軟に変更することで、収益の最大化を図る仕組みを指します。需要が高い時期には価格を上げ、低い時期には下げることで、販売機会の損失や売れ残りを防ぎます。
従来の「固定価格」と「ダイナミックプライシング」の違いは下記です。
| 項目 | 固定価格(従来) | ダイナミックプライシング |
| 価格設定 | 常に一定(または期間固定) | 需要に応じて柔軟に変動 |
| 収益性 | 繁忙期の取りこぼしが発生 | 繁忙期の利益を最大化できる |
| 在庫管理 | 閑散期に売れ残るリスク | 割引により早期完売を促せる |
需給バランスの仕組みと具体例
ダイナミックプライシングの仕組みは、買いたい人の数(需要)と提供できる商品や座席の数(供給)のバランスで決まります。需要が供給を上回る場合は価格を高く設定し、供給が余る場合は安く設定して集客を促します。この調整によって、常に最適な価格で販売を続けることが可能になります。
身近な例では、以下のようなシーンで活用されています。
・ホテルの宿泊費:大型連休は高値、平日の閑散期は安値に設定
・航空券:予約のタイミングや空席状況に応じて価格が変動
・スーパーの惣菜:閉店間際の在庫状況に合わせたタイムセール
個人店向け「人力」ダイナミックプライシングの実践法

時間帯・曜日別の「繁忙期価格」と「誘導割引」
時間帯や曜日で価格を変えることで、来店の波をコントロールし、収益を安定させることができます。需要に合わせた価格調整は、無理のない店舗運営と売上の最大化を両立させます。
【具体的な実践例】
・土日祝のランチ価格変更:平日のランチより+100円〜200円に設定
・ハッピーアワー:客足が鈍る15時〜17時にアルコール類を半額で提供
・深夜料金の導入:スタッフ確保が難しい22時以降に深夜料を適用
在庫連動型の「段階的マークダウン」
在庫状況に応じて価格を下げる段階的マークダウンは、廃棄コストの削減に直結します。商品を捨てずに売り切る仕組みを作ることで、食品ロスを減らしながら確実な利益を確保できます。
【値下げルールの設定例】
・閉店3時間前:20%オフ(「早帰り応援セール」として訴求)
・閉店1時間前:50%オフ(「売り切り御免」で一気に販売)
・雨天時特別割引:客足が遠のく天候時に、ゲリラ的に割引を実施
「場所・座席」の付加価値による価格差
座席や場所が持つ付加価値を価格に反映させることで、顧客体験に応じた適正な収益が得られます。空間の価値を数値化して価格差をつける手法は、お客さまの納得感を高めつつ客単価の向上に寄与します。
【付加価値の付け方例】
・テラス席・個室:利用料として「テーブルチャージ」を別途設定
・カウンター席限定:お一人さま歓迎の意を込めてワンドリンクサービス
・ライブビューイング席:イベント開催時に特定席の価格をアップ
お客さまに誤解を生まない伝え方の工夫

価格変動は、伝え方次第でお客さまに不信感を与えてしまうリスクがあります。不公平感を抱かせないためには、なぜ価格が変わるのかという理由を明確に提示することが重要です。適切なコミュニケーションを行うことで、価格変動をお得なチャンスやサービスの質向上として捉えてもらえます。お店のファンを離さないための配慮を徹底し、納得感のある価格設定をめざしましょう。
付加価値を伝える「ポジティブな言葉選び」
価格が高い理由をポジティブな言葉で説明すると、お客さまの納得感が高まります。値上げという言葉はネガティブな印象を与えますが、価値の向上を強調すれば受け入れられやすくなるため、伝え方を工夫してみましょう。
| 避けるべき表現 | 推奨する表現(ポジティブ変換) | 理由・背景の添え方 |
| 繁忙期値上げ | 特別メニュー提供期間 | 旬の素材を贅沢に使っているため |
| 深夜割増 | ナイトサービス料 | スタッフの安心・安全な雇用維持のため |
| 週末価格 | ホリデーランチ | デザート付きでゆったり過ごせる構成 |
| 廃棄直前割引 | ハッピーレスキュー | 食品ロス削減への協力をお願いするため |
店内POP・SNS告知の文言
告知では、価格変動のメリットをお客さまの視点で記載することが重要です。
【SNS告知の例】
「平日の14時以降はカフェタイム限定特典!ゆったり読書を楽しめる静かな空間と、お得なスイーツセットをご用意してお待ちしております。」
【店内POPの例】
「当店では食品ロス削減に取り組んでいます。20時以降のテイクアウト商品は30%OFF!美味しいお惣菜をお得に持ち帰って、地球に優しい選択をしませんか?」
定型文を活用して、透明性の高い情報発信を継続的に行いましょう。
導入メリットは売上だけじゃない!「働き方」が変わる3つの効果

ダイナミックプライシングの導入で売上の波を平準化させることは、経営者だけでなく現場で働くスタッフの負担軽減にも直結します。
| 効果の柱 | 具体的なメリット | 得られる結果 |
| 利益の最大化 | 需要が高い時に適正な対価を得る | 経営の安定・設備投資の原資確保 |
| 来店分散 | 混雑時間を避け、閑散期の利用を促す | 閑散期の集客が増えることによる売上の向上 |
| 社会貢献 | 在庫に合わせた価格調整でロス削減 | ブランドイメージ向上・SDGs達成 |
来店分散による「ワンオペ回避」
価格設定で来店のタイミングを分散させれば、現場の過度な混雑を回避することができます。具体的には、平日のアイドルタイムに割引を適用すると、土日の過度な集中を緩和する効果が期待できます。来店客数の波を平準化させることは、スタッフの疲弊や人的ミスを防ぐための非常に有効な手段です。
SDGs貢献とブランドイメージ向上
在庫に合わせた価格調整は、食品ロス削減を通じたSDGsへの貢献につながります。廃棄されそうな商品の価格を下げて売り切ることで、資源を無駄にしない無駄のない店舗運営ができるからです。社会的責任を果たす姿勢を明確に示すことで、店舗のブランドイメージ向上へのつながりも期待できます。
ダイナミックプライシングでのPOSレジ・ツールの活用
ダイナミックプライシングの精度を高めるには、POSレジなどのツール活用が欠かせません。クラウド型のPOSレジを使えば、売上の推移をリアルタイムで把握し、スムーズに価格設定へ反映できます。
ABC分析とPOSデータに基づく価格設定
どの商品の価格を調整すべきかは、POSデータのABC分析で見極めます。売上貢献度に応じた対応方針の例は以下の通りです。
・Aランク(売上の要):繁忙期に価格を上げても需要が落ちにくい。利益率向上の鍵。
・Bランク(中核商品):価格変動には慎重に。セット販売などで客単価アップを狙う。
・Cランク(動きが鈍い):閑散期の割引対象や、在庫処分のための積極的な価格調整。
データに基づいた優先順位付けが、無理のない価格調整の第一歩となります。
自動化のためのシステム導入タイミング
手動での価格管理に負担を感じた時が、システム導入の最適なタイミングです。価格変更の頻度が高まると、入力漏れなどの人的ミスや管理コストが経営の重荷になるからです。具体的には、毎日メニューを書き換えたり、複数店舗の調整が必要になったりした段階で検討を始めましょう。
まとめ:ダイナミックプライシングの小さなルール作りから始めよう

ダイナミックプライシングは、AIなどの高度な技術を使わなくても個人店で十分に導入可能です。まずは特定の曜日や時間帯に限定した、小さなルール作りから始めてみましょう。需要と供給のバランスを意識することで、売上の向上だけでなく、働き方の改善や食品ロスの削減にもつながります。
この記事では、店舗向けのダイナミックプライシングの基本と実践方法を解説しました。
改めて重要なポイントは下記です。
・需要が高まる繁忙期と閑散期でメニューの価格を調整する
・段階的な値引きを行い商品の廃棄を最小限に抑える
・お客さまにはポジティブな言葉で価格変動の理由を伝える
・POSデータの分析結果を価格設定の客観的な根拠にする
まずは、最も混雑する時間帯の看板商品をひとつ見直すことから挑戦してみてください。改善を積み重ねることで、安定した店舗経営とスタッフの余裕ある働き方の実現が期待できます。
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