コラム
2024.11.29
お客さまアンケートの点数と売上に相関性はある?売上1,500万円、「再来店意欲」92点のダイニー加盟店「麦酒倶楽部ポパイ」の戦略をオーナーが解説
- コラム
お客さまの満足度を定量的に測ることができる飲食店のお客さまアンケートは、アンケートの点数が上がるほど売上も上がるという相関性はあるのでしょうか?本記事では、「ダイニーモバイルオーダー」「ダイニー顧客管理」導入店舗で収集できるお客さまアンケートの点数と売上データを分析して関係性を見るとともに、売上もアンケート点数も高いお店の事例をご紹介します。
ダイニーアンケートとは?
「ダイニー顧客管理」を利用することで収集できるお客さまアンケートのこと。「ダイニーモバイルオーダー」で注文する際に連携したお客さまのLINEに自動でアンケートが送られるため、飲食店は毎日新鮮なお客さまの声を収集することが可能です。
アンケートの点数と売上の相関性は?
売上上位10店舗のアンケート点数と、アンケート点数上位10店舗の売上を比較
本記事では、ダイニー加盟店の2024年1月〜10月の売上平均と、アンケートの総合評価である「再来店意欲」の平均点を比較。
- 売上が高い上位10店舗のアンケート平均点が全加盟店平均より高いかどうか
- アンケート点数が高い上位10店舗の売上が全加盟店平均より高いかどうか
上記2点を分析します。
条件として、アンケート回答数が少ないと点数に偏りが出るため、回答数が加盟店全体の平均(61.1件/月)以上の店舗にのみ絞って選出しています。同期間の全加盟店平均は、アンケート点数が79.9点、売上は678万円/月となっています。
- 売上が高いお店、上位10店舗のアンケート点数
売上上位10店舗(売上平均約2,600万円/月)のアンケート平均点を算出したところ、74.3点と全加盟店平均79.9点を下回る結果になりました。ただし、アンケートの各項目の平均点を見比べてみると大差はなく、一定の満足度は満たしていると考えられます。また売上上位10店舗のリピーター率平均は8.8%で、業態力やSNS集客、インバウンド集客、商業施設での出店など、新規集客に強みがあるということが推測されます。
売上 | 再来店意欲 | 接客 | 料理 | 提供速度 | 清潔感 | |
売上上位 10店舗平均 | 26,000,000 | 74.3 | 75 | 76.8 | 70.9 | 76.2 |
全店舗平均 | 6,780,000 | 79.9 | 77 | 80.1 | 72.8 | 75.3 |
差 | 19,220,000 | -5.6 | -2 | -3.3 | -1.9 | 0.9 |
- アンケートの点数が高いお店、上位10店舗の売上
アンケート点数上位10店舗(平均92.9点)の売上平均は672万円と、全加盟店平均(678万円)とほぼ同じ結果になりました。上位10店舗には、カフェや30席以下のお店もランクインしています。アンケートの点数が高い=満足度が高い結果、口コミや紹介、再来店につながりやすくなると考えられます。
アンケートの点数ともっとも相関性がある数値は?
売上は新規集客力の影響を受けるため、アンケートの点数と売上には完全に相関性があるわけではないことがわかりました。では、アンケートの点数と最も相関性があるのは何でしょうか。先ほどの売上上位10店舗とアンケート点数上位10店舗のデータを比較すると、リピーター率に相関性が出ていることがわかります。売上上位10店舗のリピーター率は平均8.8%、アンケート点数上位10店舗は平均26.2%と、点数と比例して大きな差が出ています。アンケートの点数が高いと、実際にその後の再来店につながるということになります。
実際に、全加盟店のデータからも、アンケートの点数と最も相関性が高いのはリピート率であることがわかっています。
リピーター率が高くなるメリットとしては、リピーターと一緒に来店する新規客(リファラル新規客)が増えて雪だるま式に新規客が来店するサイクルを生み出すことができたり、リピーター売上を安定的に作れることが挙げられます。
売上もアンケート点数も高いお店は?月商1,500万円、アンケート92.2点を獲得した「麦酒倶楽部ポパイ」の事例
最後に、売上、アンケートともに高い結果を出している加盟店の事例をご紹介します。月商1,000万円以上で最も高いアンケート平均点を獲得したのは、東京都のJR両国駅徒歩2分の場所にある、クラフトビール専門店「麦酒倶楽部ポパイ」です。昭和60年に居酒屋としてオープンし、1996年に「全国の地ビールを飲める店」としてビールタップを増設、今では70種類以上のクラフトビールが毎日楽しめるお店として、連日多くのお客さまが訪れています。
- 「麦酒倶楽部ポパイ」2024年1月〜10月、1カ月あたりの平均データ
- 売上:約1,500万円
- 客数:約3,500人
- 客単価:約4,000円
- アンケート回答数:280.7件
- アンケート「再来店意欲」:92.2点
- リピーター率:40.6%
リピーター率は平均40.6%とダイニー全導入店平均の4倍程度。アンケートの回答数も月平均280件と全加盟店の2倍以上の数になっています。アンケート結果から30~50代の男女に特に愛されているお店であることがわかります。お店の認知経路は約50%が「知人の紹介」と、口コミの強さがうかがえます。
“顧客満足度を上げ、毎月来てもらう仕組みづくり”株式会社シンポ企画 オーナー城戸さまインタビュー
ーどうしてアンケートの点数も売上も高いと考えられるか。
城戸さま:「原価率がお客様の満足度」という言葉を先代からずっと言われてきて、しっかり原価をかけて、お客さまに毎月来てもらえるような仕組みにすることを戦略にしているからだと思います。このお店は両国という地域にあるので、足を運んでもらうためのお店作りが肝心です。施策として、オープンの14時・15時から夜の20時まではハッピーアワーに設定していて、何杯頼んでも1杯ビールを頼むと料理が1品付いてくるようにしています。販促も絶やさず行っていて、リピーターに毎月足を運んでもらえるように、団体用・お一人用で選べるクーポンを毎月2回LINEで配信しています。例えば、団体さまだとピッチャーで750mlサービスになります。結果的に当店の原価率は平均40%程度で、他のクラフトビール専門店と比べてもかなりお得なので、こうやって口コミにつながるのだと思います。
ー常連さまが飽きずに通い続けるための工夫は。
城戸さま:料理のクオリティや変化にもこだわることです。クラフトビール専門店となるとあまり料理への期待値は高くないかもしれませんが、当店ではもともとホテルのフレンチレストランで働いていたシェフを雇っているので、料理も美味しいと言っていただくことが多いです。また、毎月5~6品はシェフが新メニューを自由に作れる制度にしているので、今月のおすすめメニューとして出しています。モバイルオーダー画面の写真は、私が自分で撮影して変更しています。メニューの変更もしやすいですし、説明文も挿入できるので、お客さまに楽しんで注文していただけるように工夫しています。
ー新規集客のために意識していることは。
城戸さま:Googleの口コミやSNS投稿です。口コミは積み重ねなので、長年継続する中で口コミの数も増え、「クラフトビールならポパイ」という認知が取れてきました。また、20代の若い世代も集客できるように、Instagramで私がクラフトビールのうんちくを語ったりしています。Instagramの運用はプロの力を借りながら頑張っています。こういった地道な活動が大事だと考えています。
アンケートはお店の戦略と結果を照らし合わせる「お店の健康診断表」
今回のデータ分析を通して、売上とアンケートの点数には完全な比例関係はないとわかりましたが、平均的な水準を満たすことの重要性や、満足度を高めることでリピーターが自然と増え安定的な収益につながりやすいという傾向がわかりました。
アンケートは売上アップのヒントが詰まった「お店の健康診断表」でもあります。お店に来て欲しいターゲットが来店しているか、ターゲットとなるお客さまが狙い通りに満足しているのかを確認しつつ、お客さまがお店に求めているものや潜在的なニーズを読み解くことができれば、メニューやサービスの質の向上、リピーターの増加や口コミの拡散につながります。自社の強みや戦略に合わせてダイニーのアンケートを活用いただけるよう、引き続きサービスの向上と飲食店さまへの伴走を継続してまいります。
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