コラム

2024.04.19

外食SX CSVアワード2024レポート!社会課題に取り組みながら利益を生む成功事例を学ぶ【広報Blog vol.12】

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こんにちは!私たちは、飲食店の【売上アップ】を先導するスーパーモバイルオーダーPOS「ダイニー」を提供している会社です。

第12回目の広報Blogは、2024年3月22日に開催された、『外食SX CSV AWARD2024』の様子をご紹介させて頂きます!冒頭で外食SX代表の狩野様からお話があった「CSV経営」の解説から、登壇された企業様の成功事例をまとめております。

飲食店で取り組む社会事業がビジネスとして成り立つだけでなく、採用やブランディング、集客など、人と人を結び掛け算で価値が生まれていくことに大きな価値があるなと感じ、ぜひこの素敵な事例を広げられたらと記事にさせて頂きました。

この度の機会を頂きました、外食SX、CSVアワードに関わる皆様に感謝申し上げます。
ありがとうございます。

CSV経営とは?​​株式会社和音人 代表取締役 狩野様より講義

まず、外食SX代表の株式会社和音人 代表取締役の狩野様より、CSV経営についての講義がありました。

CSV経営がなぜ必要なのか?

はじめに、昨今の資本主義社会の課題が語られました。

利益至上主義で、目前の儲けを目標にしてビジネスが行われた結果、同質のものやサービスが社会に溢れ、余ってしまい、マーケティングの本質である、社会が求めているニーズに対しての情報提供ではなく、企業側の売りたいモノを実物以上に見せて訴求していくという産業構造になってしまっているという課題です。

そんな中、今までの経済活動や時代の変化で目を向けるべき社会課題は溢れていて、今こそ、取り組む使命があるとお話しされました。

例えば食領域だと、

  • 一次産業(生産):食料生産者の高齢化・不足、生産・物流コストの高騰など
  • 二次産業(流通):人手不足、原油価格の高騰、エコシステムの構築など
  • 三次産業(外食):経済不安による消費の現象、人材難・採用難、フードロスなど

が挙げられていました。

食領域の課題

社会的価値と経済的価値の両立

今露呈してきている社会課題の解決のためには、消費者の集団行動をトレンドとして捉えてモノづくりをするのではなく、人の集団行動の上位概念にある社会や思想に対しての理解や学びが必要であると狩野さんはお話しされました。

ただ、社会に影響を与えるためには、フィロソフィーとして掲げるだけではなく、継続性や発展性があるビジネスとして成り立つ必要があります。

よって、【社会課題に取り組みながら利益も生むビジネスモデル、経営戦略】であるCSV経営が必要となるということになります。

CSV経営とは

CSR経営と比較されるCSV経営ですが、CSR経営は社会的責任に配慮した経営手法で、経済性との両立を目的としない活動ということで違いが説明されていました。

狩野さんのお話をお伺いして、産業全体、各産業を取り巻くサポート企業も含めて課題を整理することで、市場を最適化し、強みを生かしあってみんなでwinになることなのだなと理解することができました。

CSV経営のイメージ図

登壇企業様のCSV経営の成功事例

その後、ノミネートされた6法人から、それぞれCSV経営についてのプレゼンがありました。
本記事では、箇条書きでまとめさせて頂きます。

株式会社つきよ〜ローカルCSV〜

登壇者:株式会社つきよ 取締役 滝柳 心様

株式会社つきよ 取締役 滝柳 心様

1、着目した課題やニーズ

地域住民:地域内での消費ニーズ(お土産を買いたい、オシャレなカフェが欲しい等)
行政:地域活性化、地域PRになる商品開発がしたい
飲食店:人手不足、事業継承者不足

2、取り組み

地域に根ざすことに振り切り、地域のHUBとなっていく取り組み

①地域に絞ったドミナント経営
②金賞受賞のソーセージ店を事業承継
③スナック(酒歌憩Juillet)やカフェ(252Cafe)など、地元住民の声を反映させた店舗開発
④フェスタや催事の実施。近隣企業とのコラボ弁当を開発
⑤地元食材を使った商品開発

3、結果

  • 口コミで評判が広がり、広告費削減
  • 坪売上75万円、FLRコスト56%(賃料が安い)
  • リファラルで9割の人員を採用
  • 物販売上の25%が催事経由(500万円相当)
  • 相模原市から評価され、行政との関係が向上

4、メッセージ

業種や年齢、性別などの枠に囚われず、アツい想いを持ったたくさんの「人」と繋がれば、「4方よし」となる

「4方よし」

人と心で繋がることで、地域の特性やニーズをキャッチしてみんなでチームとなり、ビジネスを発展させていらっしゃることが伝わってきました。「なぜつきよがいいか?」という質問に対して、「会いたい人がいるから」という声が多いとおっしゃっていた言葉が印象的でした。各地域の内側から輪が広がっていくしくみが、日本全国に広がっていくにはどうすると再現性が出ていきそうか、ぜひ詳しくお伺いしたいなと思いました。

感動スマイルキューブ株式会社〜食を通じて新しいコミュニティーの場を提案〜

登壇者:感動スマイルキューブ株式会社 代表取締役社長 佐藤 政也様

1、着目した課題やニーズ

地域住民:貧困家庭と継続的な子どもの食支援
飲食店:事業継承者不足、採用難、労働集約型の解消
農家:販路開拓、食材ロス

2、取り組み

①感動こども食堂の運営と、感動子ども協会の創立
・毎日食事を提供できる環境と、他企業と提携したイベント(食とお金の勉強の機会)の開催
・ダイニーの推しエール機能(モバイルオーダー上で寄付)で子ども食堂への寄付を募る
・取り組みを発信し採用にも活かす

②M&Aと企業提携
・大阪と東京の飲食事業を合併
・コロナ禍において3店舗のM&Aを実施
・株式会社JTBリパブリッシングと提携した飲食店(るるぶキッチン)をオープンし、地方・地域の食材を使用。(子ども食堂も併設予定)

③外国人採用

3、結果

①子ども食堂として利益を創出(+384,000円)
・1店舗で2140人の子どもが利用
・地域の人々が自然と集まるコミュニティになり、飲食店の集客にも成功
→2018年対比で売上112%、利益5倍(ひない小町蒲田店)
・スタッフのエンゲージメント向上、ホスピタリティが向上しQSCスコアが60点から80点に
・社員3名、アルバイト12名採用
・こども家庭庁と東京都のバックアップが実現

②プラスの経験値を共有し、コスト構造の改革に成功。年間43万人の飲食店利用の見込み

③バングラディシュ大学生を計8名採用

4、メッセージ

自分たちの「感動」や「スマイル」を通して、お客様・地域と連動することで、
人の心を豊かにする新たなコミュニティを創出していく

社会貢献と経済的利益の両立

地域住民と企業の繋がりだけでなく、それが行政をも動かす取り組みとなっていることに驚きました。また、子ども協会を立ち上げることで全国で子ども食堂を広げられる仕組みにされていて、その再現性と発展性も素晴らしいなと思いました。佐藤社長の子どもの食支援の原点となった話からも、子どもの未来は国の未来である大人たちの責任を感じ、この循環がずっと広がり続いていくことを私も強く願っています。

株式会社エー・ピーホールディングス〜参加企業・関連企業も含めた全員で食産業の未来を変える〜

登壇者:株式会社エー・ピーホールディングス APODカンパニー 社長 木村広大様

株式会社エー・ピーホールディングス APODカンパニー 社長 木村広大様

1、着目した課題やニーズ

飲食店:生産性向上とそこに紐づくハードル
・売上向上
・人材教育
・労務環境の整備
地域:地方経済の活性化

2、取り組み

・事業価値を書き直し、判断軸を明確にする
・各店舗ごとにストアビジョンと中期経営計画を作成
・労務を洗い出してやらないことを決め、労務遵守を徹底
・デジタルツールや科学技術の導入(モバイルオーダー、低温調理器など)
・地域食材の利用とイベントの開催

3、結果

①社会性領域
・地鶏の使用羽数が4店舗で約7,000羽相当、最上鴨の使用羽数が3店舗で約13,500羽相当
・「HAKKAISAN RYDEEN BEER」製造量の10%を1店舗で使用
・『宮崎風土くわんね』での宮崎産食材の使用率を昨年68%から89%に、仕入れ額は約4,200万円/年(概算)
・「新宿 ランチ」「新宿 定食」でGoogleビジネスプロフィール評価1位を獲得

②収益性領域
・利益昨年対比1,378%見込み、昨年赤字店舗の全店黒字化
・単価昨年対比125.3%
・坪売り77.4万円(しゃぶしゃぶつかだ)

③人的資本領域
・離職率は社員8.2%、アルバイト10%程度に
・海外人材定着率100%
・社員昇給率100%
・リファラル採用20名(パートアルバイト)
・社員残業時間平均約33時間

4、メッセージ
課題解決や目標達成は、人が行う。だからこそ、その環境を徹底的に整えることで余白ができ実行につながった。外食SXでの学びや関連企業との出会いがあったからこそ実現ができた。
一人の天才や一社の革命ではなくて、参加企業様・関連企業様も含めた全員で食産業の未来を変えたい。

生産性が上がらない本当の理由
外食SXからの学び

テーマを選定されるにあたり、自分たちにとって今一番必要なCSV経営とは?を考えられたのだと感じました。やるやらないを決めるにも判断軸がないといけないというところで、事業価値の書き直しとストアビジョンの決定をまずされたことによって、全員が共通理解をし、スピード感を持って進められた根本になったのだなと大変勉強させて頂きました。土台が出来上がった次のステージのお話を引き続きぜひお伺いしたいと思いました。

株式会社イタリアンイノベーションクッチーナ〜関わる人たちの笑顔を通じて、新しい価値を創造する〜

登壇者:株式会社イタリアンイノベーションクッチーナ人事部長 木下りか様、丸西農園 矢沢哲弥様

株式会社イタリアンイノベーションクッチーナの皆様

1、着目した課題やニーズ

農家:食材ロス
飲食店:採用難、消費者の食リテラシー向上

2、取り組み

①青空レストランプロジェクト:お客様やパートナー企業を生産者の畑に招待。収穫体験をしながら料理をふるまう(年2回)

②Rinatoプロジェクト
・規格外リンゴを使ったクラフトシードルを開発・販売
・規格外いちごを使ったスパークリングワインを開発・販売
・規格外レモンを使ったスパークリングワインを開発・販売
・長野県のりんごの皮を使ったクラフトロゼシードルを開発・販売

3、結果

①採用:採用応募件数2.5倍。接客力、社員の主体性が向上
②企業ブランディングの明確化、PR力の向上
③Rinato売上130万円。減価率2%削減、利益1.5%向上
④地域農家の売上向上、こだわりや物語を伝えることに成功
 ふるさと納税の返礼品にも利用された

4、メッセージ
2021年からCSVプロジェクトを発足して継続。お客様、自社、パートナー、社会の価値を社会的、経済的に創出していく8方良しを実現することができた。
関わる人たちの笑顔を通じて、新しい価値を創造していきたい。

Rinatoプロジェクト
8方良し取り組みシート

人事部の方のプレゼンで、農家の方のリアルな声も会場でお伺いすることができ、「人の心を動かす」とはこういうことなのだなと感じることができました。社員さんの主体性を引き出す、社員教育の色が一番強かった事例だなと感じ、ワクワクするスタッフの方々の顔が思い浮かびました。この2つのプロジェクトを通して、レストランへの集客や顧客満足度など、どんな効果があったのかもぜひお伺いしてみたいと思いました。

株式会社Pay it Forward〜飲食業界のニュースタンダードを創る〜

株式会社Pay it Forward 代表取締役 宮崎 元成様

Pay it Forward 代表取締役 宮崎 元成様

1、着目した課題やニーズ

飲食店:低賃金、人財不足、労働集約型、食材原価高騰、消費者の食リテラシー向上
漁師:食材ロス
物流業者:人材不足

2、取り組み

①廃棄問題への取り組み
・メニュー6割を、漁師が通常廃棄する食材から作る
②採用・教育の強化
・休暇、昇給制度の構築
・ダイニーの勤怠システムを活用した出退勤のスキルチェック
 必要な業務を出してスキルアップ体制を構築、スタッフで現場を回せる体制に
・TikTokの活用

3、結果

①訳ありマグロ232キロ、マグロのハツ465キロ、レバー480キロ、中落ち32.1トンを利用。仕入れ分の320万円がパートナー企業の売上に。
結果、口コミで他社も仕入れるようになり、廃棄食材ではなくなった。

②社員週休3日、全員昇給の実現
リファラル採用・社員化51名
スタッフのスキルアップにより、上位2~3割の「トップランナー」、「学生社員」が誕生。

結果的に、全店舗利益率25%を実現。以上の仕組みを持って、10月よりFC運営も開始予定。卸売業もスタート予定。

4、メッセージ

Missionである「飲食業を未来の子どもたちに」を実現するために、飲食店に関わる社会課題を解決し、飲食業界のニュースタンダードを創っていく。

飲食業界のニュースタンダード

「廃棄食材が廃棄食材でなくなった」というところで、冒頭で狩野様からお話があったように、自社だけの活動でなく、「人々の行動、認知、思想に変化があること」を実現されていることに感動しました。
社会課題の解決を飲食店事業の利益向上に強く結びつけられていらっしゃって、まさに社会の当たり前を変えていく先頭に立たれている企業様だなと思いました。

選考結果

どの企業様もそれぞれの軸で成功事例を出されていて、審査員の方々より「意見が割れた」という言葉もありましたが、結果は以下のようになりました。

特別賞:株式会社イタリアンイノベーションクッチーナ
選出理由:社員全員を巻き込むことができている運営力と浸透力

特別賞表彰式

大賞:株式会社Pay it Forward 
選出理由:社会をどうするか、未来にどう繋ぐかにしっかり取り組み結果が出ている

大賞表彰式

おわりに

飲食業界の最先端の成功事例を学ばせて頂き、こうやって社会の当たり前が変わっていくのだなと感じた貴重なお時間でした。

それぞれの企業様の取り組みの軸がこんなに違うのかということにも驚き、まず「自分たちにとってのCSV とは」を考えることが大切なのだと感じました。

また、終了後、審査員の野中様が「信じて動き続ければ、必ず未来は変わる」とおっしゃった言葉が印象的でした。シンプルですが、本当にそうなのだと思いました。

私たち自身も、モバイルオーダーによるオペレーション効率化と接客強化、お客様情報に連動した販促、顧客満足(CS)と従業員満足(ES)の見える化・仕組み化、推しエール(投げ銭)など、まさに社会課題を解決するために開発をしていますが、このように活用事例をお伝えいただき、ますます多くの企業様に活用頂けるものとなるよう伴走・発展を続けていく使命があるなと感じました。

貴重な場に参加させて頂き、誠にありがとうございました!

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ライターの紹介

小原 万美子

広報

小原 万美子

「人と組織の可能性が最大化する環境づくり」を軸に生きる人間。大阪教育大学卒業。学生時代は飲食店でアルバイトをし、尊敬する店長に育てられながら接客にやりがいを感じる。その後日本人1人で海外ボランティアを経験して視野が広がり、休学をしてUSJにてエンターテイナーを経験、人の心を動かす仕組みや環境を学ぶ。卒業後は教育事業会社にて広報、採用を担当。同時に個人事業主としても広報、マーケティング、デザイン等を行う。その後、日本中・老若男女に関わる環境で、人間の本質が生きる仕組みを拡げたいと、株式会社ダイニーに入社。使命に生きる喜びに溢れながら尽力中。

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