コラム
2026.06.18
飲食店の2店舗目出店を成功させる方法|多店舗展開を実現するオーナーの戦略
- 基礎情報
店舗目の経営が安定し、「2店舗目を出したい」という意欲が芽生えているオーナーは少なくありません。しかし、飲食業界において2店舗目は『鬼門』とも呼ばれます。その背景には、属人化・人手不足・固定費の急増という構造的な課題があります。帝国データバンクによると、2025年の飲食店倒産は過去最多の900件に達しており、業界全体の経営環境の厳しさを示しています。
出典:「飲食店」の倒産動向(2025年)|帝国データバンク
結論から言うと、2店舗目出店の成否を分けるのは「経営基盤と仕組みが整っているか」です。オーナー個人のスキルや経験に頼る属人的な運営から脱却し、モバイルオーダーやCRMツールを活用したデータ経営へ移行することが、黒字化・ブランドの継続的な成長につながります。
飲食店オーナーが2店舗目を考え始めるきっかけ
1店舗目の経営が軌道に乗り始めたとき、「このブランドをもっと広めたい」「売上をさらに伸ばしたい」という思いが自然と生まれます。出店の動機はさまざまですが、共通しているのは「1店舗目がうまくいっている」という実感から生まれる、前向きな意思決定です。
ここでは、2店舗目を考え始める代表的なきっかけを見ていきます。
「黒字化の手応え」から生まれる意欲
毎月の売上が安定し、利益が着実に積み上がってきた段階で「売上をもっと伸ばしたい」という気持ちが生まれるのは、経営者として自然なことです。黒字化の手応えは単なる数字の達成ではなく、「自分のやり方が正しかった」という確信であり、次への意欲の源泉となります。
この感覚は、1店舗目で積み上げてきた試行錯誤の経験があってこそでしょう。
「ブランドをもっと大きくしたい」という展望
黒字化という数字の手応えだけでなく、ブランドへの想いが2店舗目を考える動機となるケースも少なくありません。「このコンセプトをもっと広めたい」「自分の理念を多くの人に届けたい」という気持ちが、出店への背中を押します。1店舗目で自分の世界観が認められたからこそ生まれる、前向きな出店動機です。
「常連のお客さまを別のエリアでも増やしたい」「自分の料理哲学を広めたい」。こうした理念やビジョンが、新たな一歩を踏み出す原動力になることがあります。目的が明確なぶん、ブランドの方向性がぶれにくいというメリットもあるでしょう。
飲食店の2店舗目が「鬼門」と呼ばれる理由

1店舗目の成功体験を持つオーナーでも、2店舗目で経営が行き詰まるケースは少なくありません。その原因は、「属人化の問題・人手不足・固定費の急増」。この3つの課題が重なり、両店舗が共倒れになるリスクが生まれます。ここでは、2店舗目が失敗しやすい具体的な原因を整理します。
「1店舗目の成功」が通用しない属人化の限界
1店舗目の成功がオーナーの存在感やスキルに依存していた場合、2店舗目では想定外の壁に直面することがあります。オーナーが不在の店舗では、接客の質や料理のクオリティにばらつきが生じ、リピート率の低下につながります。これが、特定の人物の能力に経営が左右される「属人化」と呼ばれる問題です。
例えば、「オーナーと会話することが目当て」の常連客が多い店舗では、オーナーが現場を離れた途端に売上が落ちるケースがあります。特定スタッフの調理技術に依存したメニューも同様で、そのスタッフが退職すると品質の維持が難しくなります。こうした「人への依存」が続く限り、店舗を増やすほど品質管理が難しくなります。
深刻な人手不足によるオペレーション崩壊
飲食業界の人手不足は、2店舗目出店の大きな障壁となっています。帝国データバンクの調査によると、飲食店における非正社員の不足感は58.6%に達しており、慢性的な採用難が続いています。
出典:人手不足に対する企業の動向調査(2026年1月)|帝国データバンク
スタッフが十分に確保できないまま2店舗目をオープンすると、1店舗目からの異動で補おうとするケースが起こります。その結果、1店舗目の現場が手薄になり、サービスの質が低下します。新旧両店舗のスタッフが疲弊して離職が相次ぎ、顧客満足度の低下にも直結する悪循環に陥るリスクがあります。
固定費の倍増と利益率の圧迫
2店舗目の出店により、家賃・人件費・光熱費などの固定費は単純計算で2倍近くまで膨らみます。一方、原材料費の高騰も続いており、帝国データバンクによると飲食店の価格転嫁率は32.8%にとどまっています。コストが上がっても価格に転嫁しにくい構造が、経営を圧迫しています。
出典:価格転嫁に関する実態調査(2026年2月)|帝国データバンク
例えば、月の固定費が1店舗目で100万円だった場合、2店舗目の出店後は200万円程度になります。新店舗が軌道に乗るまでの数ヶ月間は売上が安定せず、固定費だけが積み上がる状況になりがちです。売上が計画を下回った場合、手元資金ショートのリスクが高まります。
2店舗目出店の前に整えておきたい経営基盤
「やりたい」という気持ちと「できる」状態は別物です。出店への意欲がある段階で経営基盤を整えることが、成功への最短ルートになります。具体的には、財務・人材・オペレーションの3つの観点から、1店舗目の現状を客観的に評価することが不可欠です。ここでは、出店前に確認・準備すべきポイントを整理します。
財務状況の把握と資金計画の立て方
2店舗目の出店には、物件の取得費や内装工事費、設備費、採用費などの初期費用が発生します。一般的に、初期費用に対して自己資金は30〜50%程度を目安に用意することが望ましいとされています。不足分は金融機関からの融資で補うことになりますが、その際には事業計画書の提出が求められます。
ここで重要になるのが、1店舗目の経営実績データです。売上推移や利益率、客単価など、黒字化を示す具体的な数値があると、金融機関からの信頼を得やすくなります。「このビジネスモデルは再現性がある」と示せるデータが、融資審査を有利に進める鍵となります。月次の売上記録や収支報告書など、財務データを日頃から整理しておくと、融資申請の際にスムーズに活用できます。
1店舗目のオペレーションが「自律的に回っているか」を確認する
2店舗目に経営資源を振り向けるためには、1店舗目がオーナー不在でも安定して運営できる状態になっていることが前提です。オーナーが毎日現場に立たなければ品質が保てない状況では、2店舗目の立ち上げに集中することはできません。この「自律的に回る状態」こそが、多店舗展開の出発点となります。
具体的には、調理手順・接客フロー・発注業務・クレーム対応などの業務がマニュアル化されていることが重要です。誰が担当しても一定のクオリティを保てる仕組みが整っていれば、オーナーが現場を離れても店舗は自走できます。「自分がいなくても1週間問題なく回ったか」という実績が、出店判断の目安になります。
任せられる店長候補・人材の育成状況
2店舗目の立ち上げに注力するためには、1店舗目を信頼して任せられる人材(店長候補)の存在が不可欠です。オーナーが両店舗を掛け持ちで管理することには限界があります。1店舗目を自走させられるリーダーがいてこそ、2店舗目への注力が可能になります。この「右腕」の有無が、出店の成否を大きく左右します。
ただし、店長候補の育成には一定の時間が必要です。業務スキルの習得だけでなく、理念を理解してスタッフをまとめる力を養うには時間がかかります。一般的に、一人前のリーダーに育てるまでには半年から1年以上かかるケースも少なくありません。「出店してから育てる」では間に合わないことが多く、計画的な育成が求められます。
ブランドを継続的に成長させる「仕組み化」とデータ活用

意欲と経営基盤が整ったら、次は「どう運営し続けるか」の仕組みづくりが重要になります。属人的な運営から脱却し、テクノロジーを活用したオペレーションの標準化とデータ経営への移行が、多店舗展開を安定させます。ここでは、ブランドを継続的に成長させるための仕組み化の手法とデータ活用のポイントを解説します。
現場を離れるためのオペレーション標準化
オーナーが現場を離れても品質を保つためには、業務のオペレーション標準化が不可欠です。調理工程・接客フロー・発注業務など、店舗運営の各業務をマニュアル化することが重要です。誰が担当しても一定のクオリティを維持できる体制が整うことで、オーナーが現場を離れられる状態を作れます。「属人化」から「仕組みによる運営」への転換が、多店舗展開の基盤となります。
例えば、調理マニュアルでは食材の分量・調理時間・盛り付けの基準を写真付きで明文化します。接客フローでは、入店から退店までの対応手順をステップごとに整理します。発注業務では、曜日ごとの発注量の目安と在庫確認のルールを定めることで、人的ミスや在庫切れを防ぐことができます。
モバイルオーダー導入による省人化
モバイルオーダーとは、お客さまがスマートフォンでQRコード(※1)を読み取り、注文・決済を完結させるシステムです。ホールスタッフがテーブルを回ってオーダーを取る必要がなくなるため、1人あたりの対応業務が大幅に削減されます。少ない人数でも店舗を安定して運営できる体制が整います。
※1 『QRコード』は株式会社デンソーウェーブの登録商標です。
オーダーテイク・追加注文の受付・会計など、スタッフが担う作業の多くをシステムに置き換えることで、スタッフはお客さまへのおもてなしに集中できるようになります。サービスの質を落とさずに省人化を実現できる点が、モバイルオーダーの大きな強みです。
顧客データの可視化とCRMによる自動送客
POSレジやモバイルオーダーを通じて収集できる顧客データは、多店舗経営における重要な経営資源です。来店頻度・注文履歴・客単価などのデータを分析することで、経営者が現場にいなくても各店舗の状況を客観的に把握できます。勘や経験に頼らない「データ経営」への移行が、安定した多店舗展開を支えます。
さらに、CRM(顧客関係管理)ツールを活用することで、1店舗目の顧客を2店舗目へ誘導する仕組みを構築できます。例えば、1店舗目の常連客に2店舗目のオープン情報やクーポンを配信し、新店舗への集客をスムーズに進められます。顧客データを起点にした送客の自動化が、開業初期の売上を安定させます。
ダイニーで実現する飲食店の多店舗展開と売上拡大
多店舗展開を成功させるには、属人化の解消・省人化・顧客データ活用を一体で実現できるシステムが有効です。ダイニーは、顧客データを活用した戦略的な店舗運営を支援するプラットフォームです。業務効率化にとどまらない、飲食店に特化した包括的なサービスが強みです。ここでは、ダイニーの具体的な機能と多店舗展開における導入メリットを解説します。
全店舗のリアルタイムデータ一元管理
ダイニーでは、全店舗の売上・注文進行・顧客属性をリアルタイムで一元管理できます。スマートフォンやパソコンからダッシュボードにアクセスすれば、経営者がどこにいても各店舗の状況を即座に把握できます。店舗数が増えても管理の手間が分散せず、客観的なデータに基づいた経営判断が可能です。
例えば、複数店舗の売上を比較し、売上が低下している店舗の原因をデータから特定できます。来店頻度の高い顧客の属性や注文傾向を把握することで、各店舗に合わせた販促施策の立案も可能です。「なんとなく調子が悪い」などといった感覚に頼らず、数値で課題を特定できることが強みです。
LINE連携による効果的なリピート施策
ダイニーでは、LINEと連携して顧客へのメッセージ配信が可能です。来店履歴や注文データをもとに、一人ひとりのお客さまに合わせた内容を届けることができます。来店から一定期間が経過したお客さまへの再来店促進や、誕生日特典など、さまざまな施策を自動化できます。画一的なメルマガとは異なり、顧客の行動に基づいた配信がリピート率の向上につながります。例えば、あるお客さまが3週間来店していない場合、自動でLINEメッセージを送ることが可能です。こうした細やかな接点の積み重ねが、お客さまのブランドへの愛着を深めます。
最小人員で店舗を回す次世代の運営体制
多店舗展開において、各店舗で十分なスタッフを確保し続けることは容易ではありません。ダイニーのシステムを活用することで、少ない人員でも安定した店舗運営を実現できます。人手不足が深刻な外食業界において、省人化は多店舗展開の重要な前提条件です。スタッフが対応すべき業務を絞り込み、限られたリソースで最大の成果を出す体制が整います。
モバイルオーダーの導入により注文受付をお客さま自身で行っていただき、さらに会計作業も運用に応じて省力化できます。スタッフはオーダーテイクにかかる時間を削減し、料理の提供や接客サービスに集中できます。ベテランスタッフへの依存度を下げ、均一なオペレーションを実現します。また、売上などの集計・可視化を効率化し、締め作業や振り返りの負荷軽減につなげます。
まとめ|データと仕組みで実現する多店舗展開

多店舗展開におけるリスクには、経営管理の複雑化と人材への依存、そして固定費の急増等があります。理想や強い想いだけでは、この課題を乗り越えられません。データと仕組みを整えることで、初めて想いを持続的な成長につなげられるのです。
ダイニーは、データ管理・LINE連携・省人化を実現するプラットフォームです。経営者が現場を離れても、数値で状況を把握しながら迅速な意思決定が可能です。勘に頼らないデータ経営が、多店舗展開のリスクを最小化します。
監修:ダイニー編集チーム
飲食店向けDX・POS・モバイルオーダー領域の情報発信を行うダイニーのコンテンツ編集チーム。
飲食業界のトレンド、店舗運営、インボイス制度などの最新情報を調査・整理し、飲食店経営者や店舗責任者に役立つ情報を発信しています。









